そもそもモチベーションとは?
モチベーションは仕事や趣味、興味のあることなどをする際に、目標や一定の方向に向けて行動するための動機や意欲を意味する言葉です。仕事や趣味を頑張る人に対して「モチベーションが高い」といい、やる気に満ちていることを表現します。ビジネスではモチベーションは動機付けとも言い換えられ、社員のやる気を高め、行動を促す時に使用されることが多い言葉です。
モチベーションの役割
モチベーションは人が何かを行動する時の動機や意欲です。モチベーションが低ければ頑張る意欲は低下し、仕事面では生産性の低下、趣味の面では無気力・無趣味になっていくでしょう。そのためモチベーションが高い状態を維持することにより、年齢を問わず活動的で前向きな行動を促す効果があります。そして、
モチベーションには本人が自らの思いや願いを実現するために高められる内発的動機付けと、自分以外からの評価や報酬を得て高められる外発的動機付けがあります。 モチベーションを高い状態で維持するには、内発的・外発的のどちらも重要です。
仕事でモチベーションを維持できない理由
仕事を長く続けていくには、モチベーションの維持は重要なポイントです。
しかし、内発的動機付けまたは外発的動機付けが上手くいかないと、モチベーションが低下することがあります。
モチベーションが下がる理由について、代表的な4つをご紹介します。
目的や目標が定まっていない、もしくは高すぎる
仕事をする目的や目標が決まっていないと、働く意義を見出せずにモチベーションが低下します。逆に目標を高く設定しすぎても、達成までの道のりが遠すぎるため、達成不可能に感じてモチベーションは低下します。モチベーションを維持していくには、現在の自分の立ち位置を理解したうえで、努力すれば達成できる目的や目標を設定することが重要です。自分で適切な目標を設定するのが難しい場合、上司や先輩と相談して決めれば、外発的動機付けにもなるでしょう。
頑張っても正当に評価されない
仕事でどれだけ頑張っても働きに見合った評価がされず、昇給や昇進につながらないケースもモチベーションが下がる理由です。自分の目標が内発的動機付けになっているとしても、評価されなければ外発的動機付けにならず、徐々にモチベーションは下がっていきます。努力が評価されなければ「自分が頑張っても無駄」と感じるようになるでしょう。
仕事に面白みがない
内発的動機付けの面では、仕事への興味や面白みが感じられなければ、仕事へのモチベーションも下がっていきます。例えば毎日同じ業務内容の繰り返しで、新しいこともなければ仕事が単調に感じ、意欲も低下していくでしょう。また本来自分がやりたい仕事を任せてもらえず、関心のない仕事をしている場合も同様です。仕事に面白みがなければ前向きな気持ちを失い、モチベーションの低下を招きます。
仕事内容に意義が感じられない
自分の仕事に意義が感じられず、会社の業務内容や理念に共感できない場合もモチベーションの低下を招きます。仕事をしていても「どうせやっても意味がない」「この仕事をやって何になるのか」と感じ、働く意欲を失っていきます。仕事の意義を見失うと内発的動機付けが難しくなるため、仕事へのやりがいも感じなくなるでしょう。
仕事におけるモチベーションのあげ方
仕事でモチベーションを上げる方法について、10個のポイントをご紹介します。
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分かりやすいゴールを設定する
モチベーションを上げるには、分かりやすい目標・ゴールを設定するのが効果的です。 分かりやすいゴールとは、数字や地位、資格などの明確な基準があるものです。
例えば営業ノルマよりも10件多くアポイントをとる、3年後に主任になる、1年後に資格を取得するなどがわかりやすいでしょう。分かりやすいゴールを設定すれば、自ら外発的動機付けをすることができ、モチベーションを高める効果が期待できます。
小さな目標を細かく設定する
自分なりの目標を設定する際は、あまりに高すぎる目標や期間が長すぎる目標はおすすめできません。そのため小さな目標をいくつか細かく設定し、最終的に大きな目標が達成できるようにするのがよいでしょう。小さな目標を設定しておけば、目標を達成した際の満足感と達成感が内発的動機付けになり、モチベーションを維持しながら働けます。他者からの評価を期待するのではなく、あくまで自分の中で目標を設定してモチベーションにつなげる意識を大事にしましょう。
業務をゲーム感覚で捉えてみる
仕事でモチベーションが上がらない理由には、仕事と思ってしまうからという面があります。発想を逆転させ、仕事をゲーム感覚で捉えてみると、仕事の進め方や気持ちの切り替えがスムーズになります。
仕事のノルマをクエストと捉え、ゴールにたどり着くためのアイテムや武器は何かなどを考えれば、内発的動機付けになるからです。発想を転換させれば仕事への気持ちも変わるため、モチベーションが上がらない時は試してみましょう。
自身の強みを分析する
仕事のやりがいや興味が湧かない人は、自分の強みを分析するとモチベーションにつながります。普段の業務で「この技術だけは誰にも負けない」と思えるもの、上司や同僚から褒められたことを強みにすれば、仕事へのモチベーションも高まるからです。
強みがわからないと自分の仕事を支えてくれる芯がなく、仕事が苦痛になっていきます。
自分の武器を正しく理解し、内発的動機付けにつなげましょう。
自己研鑽を行う
自らモチベーションを高めるために、自己研鑽を行うことも重要です。
書籍や研修、講演会などに参加して、現在の自分より成長することを目標に行動しましょう。新しい知識を身に付けると「学んだことを現場で生かしたい」という内発的動機付けになります。自分の成長を感じられれば、より成長した自分になるためにモチベーションも高まっていくでしょう。
抱えているストレスを書き出す
仕事に対するモチベーションが低いと感じている時は、何が原因になっているのかストレスの元を書き出してみましょう。 細かな内容でも構いませんから、自分がストレスと感じる内容を可視化することに意味があります。ストレスを書き出すことで新しい目標が生まれ、外発的動機付けになる可能性があるからです。また書き出すことでストレス発散になり、モチベーションが下がらないよう予防することにもなります。
モチベーションが高い人から刺激を受ける
自分のモチベーションが下がっている時は、モチベーションが高い人と関わるのも効果的です。モチベーションが高い人の考え方、ルーティン、働き方、休日の過ごし方などを知ることで、自分の行動の参考にできるからです。そこから交流が生まれれば外発的動機付けにもなり、モチベーションを維持しやすくなるでしょう。
同僚や友人に話を聞いて貰い、状況を客観視する
自分の抱える不満や問題を同僚や友人に相談し、今置かれている状況を客観視することでモチベーションアップにつなげる方法もあります。自分の中に抱え込んでいた問題を客観視できれば、解決の糸口が発見でき、モチベーションを高められる可能性があるからです。また他者から自分の頑張りを評価してもらえれば、外発的動機付けにもなります。
小さくてもできることに目を向ける
多くの人は「できないこと」「苦手なこと」に目を向けがちですが、例え小さくても自分にできることに目を向けることも大切です。ネガティブな部分に目を向けるとモチベーションも下がりますが、できることが見えてくれば物事がポジティブに感じられます。 また小さくてもできることが増えていけば、達成感や自己肯定感が高まり、内発的動機付けとしてモチベーションも高くなります。モチベーションが高くなれば新しいことに挑戦するようになり、できることが増えていく好循環を生み出せるでしょう。
オンとオフのバランスをとる
仕事中心の生活をするだけでなく、オフにリフレッシュしてバランスをとることもモチベーション維持には必要です。努力を続けることは大切ですが、肩の力を抜く時もなければ、心身ともに休めないからです。オンは一生懸命仕事を頑張り、オフになったら仕事のことは忘れてリラックスすることで、気持ちのメリハリがつきます。モチベーションが上がらない時は、思い切ってオフに遊ぶことも大事です。
モチベーションにまつわる主な心理学の理論
モチベーションに関係する主な心理学の理論を3つご紹介します。
マクレランドの欲求理論
マクレランドの欲求理論では、モチベーションについて4つの欲求に分類しています。
- ・達成欲求:何かを成し遂げることへの欲求
- ・権力欲求:自分は人より優れ、他者に何らかの影響力を持ちたいという欲求
- ・親和欲求:他者と友好的な関係を築きたいという欲求
- ・回避欲求:困難や失敗を避けたいという欲求
4つの欲求は人によって強さが異なり、モチベーションに与える影響も様々です。
例えばAさんは達成欲求が高く、回避欲求が低いという特徴があるとします。一方でBさんは親和欲求と回避欲求が高く、達成欲求が低いというパターンもあり、それぞれ仕事に対するモチベーションは違います。マクレランドの欲求理論は人それぞれの仕事に対する欲求を分類し、分類に合わせたマネジメント方法を考える際に役立つ理論です。
マズローの欲求5段階説
マズローの欲求5段階説は、人間の欲求の段階を5つの階層に分け、低い階層の欲求が満たされるとその上の欲求を欲するとした理論です。
- ・生理的欲求(第一階層):食事・睡眠などの人間の本能に従った欲求
- ・安全欲求(第二階層):心身の安全や社会的な安定を求める欲求
- ・社会的欲求(第三階層):社会から必要とされたい・受け入れられたいとする欲求
- ・尊厳欲求(第四階層):人から尊敬されたい・承認されたいとする欲求
- ・自己実現欲求(第五階層):自己の目標に向けて成長したいとする欲求
マズローの欲求5段階説においては、第三・四階層が外発的動機付け、第五階層が内発的動機付けに近い欲求になっています。
モチベーションが低下している場合は、第一または第二階層でつまずいている可能性が高いです。
バーズバーグの二要因理論
バーズバーグの二要因理論とは、仕事の満足度が動機付け要因と衛生要因の2つに左右されるとする理論です。 仕事で目標を達成し、人から評価されるなどの動機に関するものが動機付け要因、給与や福利厚生などの待遇・環境面に関するものが衛生要因です。
2つの要因は相互に補完しあう関係にあり、片方が欠けていてもモチベーションの低下につながるとされています。そのため、衛生要因が十分にもかかわらずモチベーションの低い社員が多い場合、動機付け要因に不十分な点があると考えられます。比較的シンプルに分類されているため、会社のマネジメントで活用しやすい理論です。
モチベーションをあげる言葉5つ
著名人の言葉からモチベーションが上がる5つをご紹介します。
勝ち続けることで成長したんじゃなく、負けて強くなってきたんです
女子レスリングでオリンピック3連覇も果たした吉田沙保里さんの言葉です。
前人未踏の偉業を成し遂げた吉田沙保里さんも、試合で負けることはありました。
その際、負け続けて終わるのではなく、勝つための努力をしたことで成長してきた結果が、かつてない記録へとつながりました。今が辛い時期だったとしても、諦めずに成長し続ければ良い結果につながることを表す言葉です。
現状維持では、後退するばかりである
世界的なエンターテインメント企業ディズニーの創始者ウォルト・ディズニーの言葉です。 現状に満足し、リスクや挑戦を避けようする人は、いずれ時代に取り残されて後退していくことを表しています。 時代が変わっても普遍的な意味を持つ言葉であり、どんな時も成長し続けることが大事だとわかります。
努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る
こちらは小説家井上靖の言葉です。努力を続ける人は現状に満足せず、常に成長するために前を見続けています。一方、怠ける人は現状の自分に満足し、努力しない自分を肯定するために自分の置かれた環境への不満を語るという意味が込められています。仕事を頑張っている様子もないのに不満を言う人がいたら、井上靖のこの言葉を思い出しましょう。
人を信じよ、しかし、その100倍も自らを信じよ
漫画家手塚治虫の残した言葉です。
人を信じること、信じ続けることは難しいことですが、相手を信じ、その気持ち以上に自分のことを信じられれば、お互いに幸せが訪れます。手塚治虫が多くの名作を残せた背景には、自分自身を信じる強い心があったことがわかります。
意志あるところに道は開ける
アメリカ第16代大統領にして、奴隷制度廃止を成し遂げたエイブラハム・リンカーンの言葉です。アメリカの歴史上でも非常に有名な大統領であり、強い意志があったからこそ偉業を達成できたと考えられます。自らの意思を貫くには多くの困難が伴いますが、困難に立ち向かってこそ新しい道が開けるでしょう。
まとめ
仕事をしていてもやる気が出ない、モチベーションが上がらないという時は誰にでもあります。今回解説したモチベーションが上がらない理由、動機付けのポイント、モチベーションがあがる言葉は、今後も働いていくうえで参考になるでしょう。
仕事が上手くいかず、気持ちも空回りしていると感じた時には、内発的動機付けと外発的動機付けの観点からモチベーションを高めましょう。 そして、より詳しくモチベーションアップやセルフマネジメントについて知りたいなら、通信講座の利用もおすすめです。
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